やすとみ歩氏を新公認候補予定者に発表、「子ども守ることを政治の第一に」

 「れいわ新選組」は27日、やすとみ歩(あゆみ・56)・東京大学東洋文化研究所教授を2人目の公認候補予定者として発表し、東京・四谷の選挙事務所で記者会見を開いた。やすとみ氏は政治の原則を「国民国家システムの維持」から「子供を守ること」に戻すことを主張した。

 事務所には大勢の報道陣が詰め掛け、第2の候補者を待ち構えた。山本太郎代表は「今の日本の一番の問題は生きづらさ。男らしさ、女らしさ、母親らしさといった地獄のようなカテゴライズ、こうあるべきだという枠にはめられながら生かされている。そのような価値観をブレイクスルーされた方で、自分らしさを最大限解放されている」と紹介した。

 ワンピースにシースルーの赤いジャケットシャツという妖艶ないでたちで現れたやすとみ氏に、事務所内が沸く。マイクを取ったやすとみ氏は、山本氏と一度握手をしたことがあり、今回メールで出馬依頼されたことを明かした。受けた理由を「現代社会は豪華な地獄。見掛けは素晴らしいが、中身は息詰まる社会。そこを何とかしない限り、幸せになれないし、日本社会はやがて崩壊に向かう」と吐露した。

 「普通、選挙では政策を訴えるのが建前だが、もはや政策でどうにかなる段階ではない。社会の目的、政治の原則が国民国家システムの維持にされてきた。そこから別の原則に移行しないと。それは、子供を守ることと考える」

 記者から、「れいわ新選組」ブームを社会現象としてどう捉えるかとの質問があった。やすとみ氏は「政治全体に対する不信感への表れ。国民国家システム全体の賞味期限が切れて、機能しなくなっている」と両断。「れいわ新選組」を「政党じゃなく、テロリストの名前。元を正せばメロリンQだし、天皇へ手紙を渡そうと禁じ手を使った。民衆は今までの政治の外に新しい政治をつくること、議会制民主主義を再生する力を期待しているのではないか」と分析した。

 日本を貧困から脱出させる方策について尋ねられると、「経済という考え方が間違っている。高度成長の本質は引っ越し。村で自分で採って食べている人が東京に出て来ると、3万円のところが50万、100万円要るようになり、GDPは10倍以上に増える。法律やイデオロギー、価値観は資本主義生産システムに応じて全部できていて、従わないと死ぬと思っている。これはただの勘違い。人と人との助け合いこそ必要で、お金では解決できない」と文明論を説いた。

 山本氏は「最初お会した際に「政策でどうにかなる段階ではない」と聞いた時に驚きを感じるとともに、既存の価値観をぶっ壊す感覚に一緒にやっていきたいと思った。長いスパンでの社会デザインを語れる人は永田町に多くない。今、お話しされた世界観も重要。その一方で、多様な価値観を議論する前提として、人々の生活の底上げを大胆にやっていく必要があることには変わりない。」と応じた。

 質問は政策以外にも及んだ。女性装を選んだ理由を問われたやすとみ氏は、「50年間、普通に男性だと思っていた。きっかけは、ダイエットに成功し、体重が10キロ減ったこと。男物はウエストが余り、がばがば。女物のズボンを履くとぴったり。感じたことのない安心感を抱き、焦燥感が消えた」と語り、今の格好が自然であるとした。

 やすとみ氏は昨年7月の(埼玉県)東松山市長選で馬を使った選挙運動をした。今回も予定しているかとの質問に対し、「そうしたい。できたら皇居一周したい」と述べ、昭和30年代まで馬が人間の生活に溶け込んでいたことを紹介。「馬を都市に引き込むのは、私の重要な政策。太郎さんが駅前で演説している所へ、馬で通り過ぎるアホな絵をメディアにお見せしたい」と述べ、報道陣の笑いを取った。

 最後に、やすとみ氏は尊敬する政治家として故石井紘基衆院議員(旧民主党)を挙げた。「石井先生は日本の財政構造を解明していた。私が『経済学の船出』(NTT出版)を書いていたときに調べ、暗殺されたことを知り、衝撃を受けた。もし私が参院議員に当選したら、国政調査権を用いて日本の国民国家がどういう形で、どう作動しているかを解明したい」と抱負を述べた。

やすとみ歩
本名:安富歩(やすとみ・あゆみ)
大阪府出身、56歳。
東京大学東洋文化研究所教授。