【動画&文字起こし全文】「れいわ祭2」19.7.19 東京・東京・新橋駅SL広場【森達也】

木内みどり:
手話をしてくださってるこの方も、ボランティアです。ありがとうございます。

ここでおふた方、ゲストを紹介したいと思います。おひと方目、映画監督です。「FAKE」という映画、ご存じでしょうか? ずいぶん本当に議論を呼びました。「FAKE」という映画、そして本もたくさん出していらっしゃいますが、特に「A3」という本、上下巻ありますが、これはどうしても読んでほしい、ということで、ネット上で無料公開されています。こんなの、異例なことです。ご紹介します。映画監督・森達也さん、どうぞ。

森達也:
こんにちは。えっと、あの、あ、すごい。こういう場なんで、ちゃんとスーツ、ネクタイ着て来ようと思ったんですけど、あまりにも暑くて、すみません、なんか近所のビデオ屋さんにDVD返しに行くみたいな恰好で来てしまいましたけど。気持ちはちゃんとドレスアップしています。緊張しています。

というのは、この場に、いていいんだろうかと、今も逡巡しています。なぜならば、僕は、特に、オウムについて敵視してる人、たくさんいます。つまり僕が応援することで、逆に、れいわの足を引っ張ってしまうんではないかと、そういうためらいがあったので、2回、今回誘われたんだけど、やんわりと断ったんです。ところが3回目、また依頼がきて、全然忖度してくれないんですよね。気持ちをね。まあ、だから、こっちも腹を決めました。今日言いたいこと言います。

本題に入る前に、メディア、テレビ各局来てます。おそらく新聞も、各紙来てると思います。これ、いつ放送するんですか? いつ掲載するんですか? 選挙終わってから? 何のために? 選挙終わってから記事を読んで、あるいは、ニュースを見て、悔しい思いをさせたいから? 人々に。だから、今報道しないんですか? 意味がわからない。

確かに、れいわは今、政党要件満たしてません。だから既存政党とは違う。党首討論には入れない。それはわかります。でも、これ、ニュースバリュー、ないんですか? ニュースバリューあるから今日来てるんじゃないの? じゃ、なんで、今日報道しないんですか?

昨日痛ましい事件がありました。それは、さすがに別にしても、今日は朝から吉本の芸人さんが契約を解除されたってニュースばっかり何度も流してる。じゃ、何でこれ流さないの? これ公正中立なんですか? これだけ人々が関心持ってることを、なぜ流さないんですか? てことを言いたい。

オウムの地下鉄サリン事件以降、24年経ちました。この国はある方向に向かってます。どんな方向か。集団化です。不安と恐怖を刺激されて、皆んなでまとまろうという気持ちが、とても強くなった。集団は、集団の中で、異質なものを探したくなります。なぜならば、それを探した時に、自分たちは多数派になれるんです。だから、マイノリティーを探す。探してこれを排除しようとする。こうしてヘイトスピーチが起きます。

集団は、集団の外に敵を探したくなります。なぜなら敵を探した時に、自分たちは、より強く連帯できるから。だから、オウムの事件以前であればもっと仲良かったはずの隣国が、どんどん敵になってきた。危険な存在になってきた。

集団は、皆んなで一緒に動きます。水族館でイワシの群れ、見たことありますよね。ひとつの生き物のように動く。つまり同調圧力強くなるんです。なぜならば、この中で皆んなと同じように動かないと、自分が異物になってしまう。だから、必死にまわりと同じように動く。

まあ、でもイワシとかね、ムクドリとか、スズメは、本能が発達してますから、本能が残ってますから、感覚的に動きを察知します。人間はもう本能退化しました。代わりに、言葉がある。つまり、集団化が進むと人は、言葉を求めます。どんな言葉か。リーダーの言葉です。つまり号令。要するに強いリーダーが欲しくなる。前へ進め、右向け右、そうしたような指示が欲しくなる。

この時に指示が聞こえないとどうするか。指示を自分たちでつくっちゃいます。つまりこれが忖度です。なぜ今、これほどに忖度とか、同調圧力が強くなったと、皆んな思ってるのか。集団化が進んでるからです。これは、今やもう日本だけの現象ではない。911の後の世界、「テロ」というキーワードを燃料にして、世界中で集団化が起きてます。だから、より強いリーダーが欲しくなる。トランプだったり、プーチンだったり、習近平だったり、ドゥテルテだったり、かつてであれば独裁的な政治家の支持率がどんどん上がる。かつてのブッシュもそうですね。で、日本もその例外じゃないです。独裁的に強いことをとにかく、うわべだけは言う。そうした政治家がもてはやされる。支持される。皆んなが忖度する、同調圧力が強くなる、組織の求心力が強くなる。

先ほどちらっと耳にしました。警察官たちが、デモ隊かな、ごぼう抜きにしてる時に、人間の顔をしていなかった。組織の人間なんです。一人称単数の主語を失ってしまう。そうした時に人は、大きな過ちを犯します。なぜか? 集団は暴走するんです。周りが皆んな同じように動くから、暴走してるかどうかもわからなくなる。で、集団は失敗します。断崖絶壁から落ちるかもしれない。壁にぶつかるかもしれない。人類はこの歴史をずっと繰り返してます。集団化の失敗なんです。

どうやったら繰り返さずにすむか。歴史認識です。過去の失敗を、しっかりかみしめること。ところが、今この国は、今のこの国の政権を含めて、歴史認識をきちんと見ようとしない。振り返ろうとしない。過ちを認めない。で、その結果として、暴走がどんどん激しくなる。この24年間そうした状況がずっと加速してきました。

地団駄踏んでました。で、その時に山本太郎が現われた。皆さん、気づきません? 彼、ひとりなんですよ。ま、もちろん政治はひとりじゃできないから、政党に帰属はしていたけれど、一議員じゃないんです。国会で質問する時、あるいは、強行採決に反対する時、山本太郎は、スタンドプレーします。園遊会でもスタンドプレーします。周り気にしちゃいないんです。一人称単数の主語なんです。だから、ああいうことができるんです。

今回も彼は、こういう政党をつくったけれど、決してこれは、既存の政党とは違う。僕は候補者の方全員と面識ないけど、はすいけ透さん、かつて、拉致被害者の会の彼、事務局長です。でも、この流れはおかしい。安倍政権と結託して今のこの拉致被害者の会の動きはおかしいと声をあげて、彼はパージされました。

やすとみ歩さん、彼は、男はこうあるもの、女はこうあるもの、それで本当にいいんだろうか、もっと自由でいいんじゃないか、そう思って声を上げた。野原さんもそうですね。現役の創価学会員。でも公明党に喧嘩を売った。

全員ひとりなんですよ、この党は。山本太郎が、まずひとりなんです。もちろん人間は集団が必要、組織が必要です。社会性がありますから、ひとりでは生きていけない。でも困るのは、過剰に集団に埋没すること。

埋没することで、会社員になってしまう。今のメディア、まったく同じです。記者じゃない。カメラマン、ディレクター、ジャーナリストじゃない、あなたたちは。会社員だよ。会社員じゃダメなんです。伝えたいことを、自分が伝えたいと思ったことを伝えてください。プロデューサー説得してください。なんでこれが、報道いけないんだって、喧嘩してください。一人称単数の主語を取り戻してください。

でも、メディアだけじゃない。社会全体、そうなってます。どうすればいいのか。もう、答えは明らかですよね。2日後です。ひとりでも多くの人を、送りこみたいと思ってます。ご協力よろしくお願いします。

木内みどり:
森達也さんでした。ありがとうございました。カメラで撮ってくださってる皆様には、ちょっと耳の痛いスピーチになりましたが、皆さんが悪いわけではないと思います。そういうシステムが悪いんだと思いますが、今、記者という言葉がたくさん出ましたが、「新聞記者」という映画のこと、ご存じでしょうか? ありがとうございます。

東京新聞の望月衣塑子記者が書いた「新聞記者」というのが原案になって、映画になっております。公開されています。すごい評判を呼んでいます。本当にメディアの人がどこまでどう報道するのかっていうのに迫っていて、松坂桃李さん、立派な俳優さんが見事に演じております。女優さんは日本の女優さん腰が引けて駄目だったので韓国の女優さんが演じていますけれども、素晴らしい映画です。「新聞記者」日本全国140館でイオン系の映画館でやっています。ぜひ足をお運びください。

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